【人事労務のリスク管理メモ】7月号アップしました
●長期欠勤後にシフトを激減された
勤続十年を超えるベテランパートのAは、親の介護の都合などもあり、まとまった休みが欲しいと考えていた。そんな折にたまたま会社側から、当面人員が過剰なのでシフトを減らしたい希望があれば申し出てほしいとの呼びかけがあったので、渡りに船とばかり、Aは二カ月間の休暇を申し出た。会社も応諾したためAは希望通り二カ月間お休みをした。
ところが、二か月の休暇が間もなく終わるため、復帰月の希望シフトを提出したところ、決まったシフトは希望が全く無視され、わずかに週末を含めた十日程度にまで減らされていた。
長期の休暇を取る前までは、シフトはほぼ希望通りコンスタントに週五、六日程度は入っていた。これまで年休すら取ることもなく、また、会社の急なシフト入りへの要請にも積極的に応えてきたのに、こんな仕打ちは許せない、とAは会社に対して強い不信感を持った。
Aは経営者のBに、こんなシフトは受け入れられない、とシフトの再編成を求めたが、Bは、のらりくらりと的外れな回答をするばかりで埒が明かない。業を煮やしたAは、シフトを増やしてもらえるのか明確な回答を求めたが、それは出来ないの一点張りだった。
Aの休暇中に育児休業から復帰するスタッフもあり、今回のAの復帰には、すでに入ることができるシフトが無かった。だからといって、これまで会社に貢献し続けてきた私を追い出すような処遇は法律上許されるのか、と考えるAは法的解決を視野に会社外部の解決機関の支援を検討している。
●リストラを理由とした突然のシフトの減少
Cは飲食系のチェーン店でパートとして週四日程度のシフトに入っていたが、妊娠、出産を経て、育児時間が必要な平日を除いて、家族に子供の世話を任せられる週末だけの勤務シフトで就労していた。
やがて子供の保育園も決まったため、再び以前のように週四日にシフトに戻して欲しい旨の希望に応じてもらい、新年度から勤務することになった。
新年度から、それまで店長だったDが異動で他店舗に移り、新たにEが店長として赴任してきた。CはすでにDとの間で決まっていた週四のシフトで勤務できると思っていたところ、新店長のEから、業績不振を理由にシフトをこれまで通り週末のみとする旨を突然に告げられた。
Cは、すでに前店長のDとの間で決まっていたこと、業績不振云々については、今日突然に聞いたことでもあり、一方的な話に応じることはできないと返答した。
それに対してEは、週四のシフトに関しては、前店長のDとの合意であって、現店長であるE自身との約束ではない、と突っぱねた。
これ以上話をしても埒が明かないと感じたCは、そうですかと一応返答してその場は引き下がったが、Eによる突然の思い付きのような一方的な決定に全く納得ができない。
業績不振によるシフトの減少は仕方がないとしても、ほかにたくさんいるスタッフの中からなぜ自分がその対象になったのか、Cは不信感を持った。それは業績不振のためシフトを増やせないというEの話を他のスタッフに話したところ、そんな話は全く聞いていないことが分かったからだった。
新店長のEは、意図的に私を辞めさせようとしているのではないか、と憤ったCは、労働基準監督署に相談することにした。
●嘱託OBに頭の上がらない上司
Fは専門職サービスを業とする会社に勤める中堅社員で、普段の業務は支障なく遂行してはいるが、ひとつ問題がある。それは職場のOBで現在嘱託で勤務しているG。
感情の起伏が激しく、感情が安定しているときは特に問題はないが、仕事がうまくいかないなどのストレスが少しでも加わると、いきなり大声を出す、周りに怒鳴り散らす、新人スタッフの些細なミスを執拗に追及するなど、あまりにひどい状況だったため、上司のHに対して、Gを何とかしてほしい、と求めた。
すると翌日から、なぜがFに対するGの風当たりが強くなった。挨拶を返さないで無視をするとか、休憩時間にGが持参したお菓子をFにだけ渡さない、などの子供じみた言動までは冷ややかに見ていたが、他のスタッフに対して、Fの仕事ぶりの異常さとか、ミスの多さ、クレームの多さ、挙句の果てには顧客の男性担当者といい関係だとか、何の根拠もないことをこれ見よがしに話していることは、とても耐えられない。
見て見ぬふりをし続ける上司のHに、何とかしてほしいと強く求めると、Hは「俺もあの人にはずいぶんいじめられた。多少は我慢も必要じゃないか」というのみで、お話にならない。
でっち上げの事実で侮辱するなど、到底許せないFは、Gからの謝罪を求めたいと考えている。人事に対しては、早く首にしてほしいと求めたところだった。
●パワハラで訴える、といわれたが…
IはパートスタッフのJらを管理する立場にある社員で、仕事がずさんでミスが多く責任感のないJらの仕事ぶりに、いつも頭を抱えている。
Jら数人の仲良しグループは大抵同じシフトで一緒に仕事をしているが、業務時間中でも私語が多く、それが注意力散漫状態を招いて、些細なミスを繰り返している。Iがそうした問題を指摘しても、それは仕事の段取りが悪いからミスを招きやすいとか、私語とミスは関係がない、ラインの前工程での仕事が雑だから私たちもミスをするなどといった言い訳ばかりで、何の反省もない。
そもそもこうした単純なミスは、Jら以外にほとんどないもので、その原因が他にあるとは思えない。
こんな繰り返しに業を煮やしたIは、これ以上こうしたミスが続くようであれば、シフトを大幅に減らさなければならなくなることを示唆した。
するとJらは、私たちはパートであって、業務上の責任は社員が取るべきもので私たちには関係ない、とか、こんな文句ばかり言われるなら、もっといい仕事に転職したほうがましだ、などと暴言を吐き始めた。
Iもさすがに腹が立ったのか、Jらのようないい加減なスタッフを受け入れるような職場などあるはずがない、という思いだったので、皮肉を込めて、「そんな良い職場があるのであれば、転職したらどうだ」と言い返した。
するとJらは、「それはパワハラ発言です。訴えますから!」とムキになって答えた。