社外相談窓口の役割・位置づけ

どうしていいか分からない従業員が、7割以上

かつてネット上でトラブル解決の障害となっているものはなにか、についてのアンケートをとったところ、「どうしていいかわからない」という回答が7割以上であることがわかりました。

問題は水面下で深刻化する

問題を相談しようにも、誰に相談していいのかわからない、どのように解決を求めればいいのかわからない、というものです。これがそのまま放置されれば、問題が深刻化し、表面化したときには、解決が極めて困難な状態となっているであろうことが想像できます。

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問題の前兆をいち早く察知し、適切な対処を適切な時期に行っていれば、平穏迅速な社内的な解決な可能です。そのような仕組みを整えておくことが大切です。

トラブルに気づくのが遅すぎる

大概の会社では、特に経営者の方は、自社にはトラブルなど全くなく、縁もゆかりモない、と思っていますから、自ずからトラブルに対する感度がとても鈍いのです。忌み嫌われる問題として捉えられ、できることなら関わりたくない、見たくもない、という気持ちが職場でのこうした問題に対する無関心につながっているのではないでしょうか。

そのため、問題が外部化したときに、初めて事の大きさに慌てふためくのです。このような状況に至ってご相談頂くケースが多いのですが、特にその内容が労基法違反などの法令違反に及んでいる場合には、たいていは、ほぼ外堀は埋められてしまっています。ここで従業員に対する恨みつらみや労基法の理不尽を愚痴ってみても、状況は何も変わりません。

大きなトラブルになる前に、その前兆をキャッチする

従業員は相談したいのです。問題の前兆を知ることができる機会を逃すような状況は、少なくとも、なくしておきたいものです。それだけで避けられるトラブルがあります。そうした問題がほとんどではないでしょうか。この段階で問題を放置したために、感情的なすれ違いが大きくなり、法的なトラブルとして社外の解決制度の俎上に乗ることになってしまいます。従業員としても、平穏に解決したいと思っているのです。

もつれた感情を解きほぐし、労使双方にとって納得性の高い解決を目指す

社内的に平穏迅速に解決できることは、会社にとっても、従業員にとっても望むものでしょう。好んでトラブルを起こす人はいないはずです。ほんの一言説明が無かったために、ほんの一言の不用意な言動のために、たったそれだけのことで職場の雰囲気を悪くするものです。そこで適切な対応ができれば、相談者の気持ちにも、収まりどころが見つかるでしょう。

相談者への「共感」無しに社内的な解決はあり得ない

共感さえすれば円満に解決できる、と言うほど話は単純ではありませんが、逆に「共感」が無ければ、まず解決はおぼつきません。ここでいう「共感」とは、相手の要求をすべての飲むことではなく、相手の気持ちに寄り添う、ということです。

どう考えても理不尽な要求であるとしても、そうした要求をしようとする相手の「気持ち」を理解してあげることで、話を前に進ませることができます。ここで、相手の気持ちを全く無視して、理路整然と相手の主張の理不尽さを喝破したとしても、言い負かした満足と引き換えに失ったものがあまりにも大きいことに気が付いたときは、すでに後の祭りです。

実は、このような状況は、往々にしてやってしまうものです。特に感情的に許せない従業員に対しては、力でねじ伏せようとしてしまうものですが、窮鼠猫を噛むの例え通り、行き場のなくなったトラブルの相手方の従業員の感情は、あらぬ方向へと向かうことになるのです。この段階で、社内的な解決は絶望的になります。

解決の第一歩は、原因を特定すること

トラブルには、必ず原因があります。相談者からの問題の指摘に対して、それは大した問題ではない、と考えたとすれば、すでに相談への「共感」を放棄したことになってしまいます。確かに大した問題ではないかもしれませんが、相談者にとっては重大な問題なのです。

ここで考えなければならないことは、なぜ相談者は、その些細な問題を、重要な問題と捉えているのか、です。本当はもっと深刻な問題が別のところに隠れているかもしれません。あるいは相談者の心の中のわだかまりかも知れません。それは何なのか、を探っていくことで問題の本質が見えてきます。

原因は、当事者のどちらか一方、あるいは双方に、必ずある

のです。それは意識的行った行為なのか、無意識のうちに行った行為なのか、あるいは、気持ちの中の問題なのか、単なる誤解なのか…いずれにしても、必ず原因はあります。具体的な事実関係が確認できないような問題の場合には、気持ちの中に原因があることもあるでしょう。気持ちの問題なのだから、で済ませられる問題と済ませられない問題があります。むしろ気持ちの問題は、極めて慎重かつ配慮が求められる場合が含まれていることが多いのではないでしょうか。

トラブルメーカーへの牽制効果

残念なことに、好んでトラブルを起こして、あわよくば会社から棚ぼた的な恩恵に預かろうと考える人もいます。こうした人は、会社の労務管理の隙間をうまく利用して、計画的に実行することもあります。そうした動機を、初期の段階から挫くことができれば、トラブルは未然に防止できるでしょう。

トラブルメーカーの主張は往々にして理不尽で、かつ、その主張自体に無理があるものです。しかしそうした主張に安易に屈してしまうと、更に付け込まれる可能性が高くなります。職場のモラルハザードを引き起こさないためには、法的な根拠を持って、毅然と対応することが必要でしょう。

トラブルメーカーも、状況は様々

一言でトラブルメーカーと言っても、会社から金銭をせびることが目的の場合もあれば、不平不満のはけ口が、たまたまトラブルという形になってしまうケースもあります。あるいは、もっと自分の注目してほしい、という気持ちから意図的にトラブルを起こすこともあります。

勤続期間も長く、これまで特別な問題もなかった従業員が、何かをきっかけにトラブルメーカーへと豹変することもあります。こうしたケースの場合ですが、これは豹変したのではなく、トラブルメーカーとしての性質、性格が現れていなかっただけであって、ある特定の状況が生まれることによって、その問題の性格が姿をあらわしたものと考えることができます。

ということは、これまでは、豹変する前までは、本人の特性を十分に生かした適切な労務管理が、結果としてではありますが、できていた、ということも言えるのではないでしょうか。

トラブルを意図的に起こして会社をかく乱し、金銭請求をすることを目的とするような悪質なケースは、就業規則等の規定に沿って粛々と処分をし、早々にお引き取り願わなければなりませんが、なぜトラブルを起こすのか、その理由、原因を見極めることで、労務管理によって事態の打開を図ることが可能なケースは、かなり多いのではないかと感じます。

パワハラを繰り返す管理職への牽制効果も期待大

パワハラを繰り返す管理職は、パワハラの言動が問題であることを理解していながら、ついついやりすぎていしまうケースと、パワハラ的言動を全く意に介さないため、注意をした当初は鳴りを潜めているが、ほとぼりが冷めればまたぞろ同じことを繰り返すケース、のいずれかが典型かと思われます。

いずれの場合でも、パワハラを一時的にも収束させるという効果は、相談窓口によって一定程度は確保できるのではないでしょうか。ただし、問題の根本的な解決については、慎重な対応が求められる可能性があります。