社外相談窓口に対する疑問・ご質問

相談窓口のご提案に際しては、様々な疑問・ご質問を頂いています。例えば…

  • 相談窓口を設けたら、トラブルが増えるんじゃないのか?
  • いまでも大変な労務管理が、もっと大変になるのでは?
  • そもそも、何で相談窓口が必要なのか?
  • 相談窓口を設ける意味が分からない
  • それは会社のためになるのか?
  • お金を払って従業員の味方になるのでは、割に合わない

・・・など、相談窓口に対する誤解や疑心暗鬼が渦巻いているようです。すでに社外相談窓口を導入されている企業などでは「何を今さら…」と言われそうですが、これから社外相談窓口を導入したいというご担当の方に向けて、あえてここでコメントしておきたいと思います。

相談窓口を設けたら、トラブルは増えるか?

この疑問に対する答えは、「病院ができると病気が増えるか」という質問に置き換えることができます。当然に患者は増えるかもしれませんが、病気が増える訳ではありません。相談窓口を設けることで、放置黙認されてきた問題への対処が必要になることはあるでしょう。ですが、相談窓口の設置は法的な要請もあり、設けないことは適当ではありません。問題は、その相談窓口にどのような機能を持たせるのか、という判断になってきます。

労務管理がもっと大変になるのではないか?

対応すべき問題が増えるという意味ではイエスですが、日々の労務管理業務に組み込んでしまうことができないでしょうか。あるいは、外部に委託することで負担を軽減することができます。深刻化した後の対応と深刻化する前の対応のどちらがより負担が少ないのか、損失が少ないのかを考える必要があるのではないでしょうか。そのまえに、そもそも相談窓口に相談があるのか、という大前提の問題があります。この点については、ふたを開けてみなければ分からない、としか言いようがありません。

相談が無い相談窓口には、そもそも相談対応の業務はありません。相談が無いのは、問題がないのか、相談することを躊躇しているだけか、あるいは相談しずらい窓口になっているのか、などの状況があることを考えておかなければなりません。このように、相談件数のみを持って相談窓口の是非を判断することはできません。

何で相談窓口が必要なのか?

消極的には、法的な要請がありますが、積極的には、トラブルの未然防止のための対策であり、トラブルの外部化を防ぎ、社内的な解決を促すことにあります。しかし中には、「トラブルなんて、起こったときに対応すればいい」とお考えになる経営者の方もかなり多いのではないでしょうか。これはトラブルに対する考え方ですので、何が正解かという問題ではないでしょう。

しかし、そのようにお考えの経営者の方でも、実際にトラブルに直面した場合には、トラブルの未然防止に対して、心を砕くようになります。それはトラブルの及ぼす業務への影響を、これは物心両面にわたるものですが、どうしても考えざるを得なくなるからです。

そうしたことから、「一度大きなトラブルに遭ってみればいい」などと乱暴なことを言われる方もおられますが、それがリスク管理に対する意識を変える程度の適度な(?)トラブルであればいいのですが、トラブルの内容によっては、会社経営を揺るがしかねないものもあります。いい勉強になったなどと言っていられる状況ではないでしょう。

「上司に相談すればいいじゃないか」

なんでわざわざ相談窓口を作る必要があるのか、という疑問を頂いたこともありました。ですが職場の実態をよくご覧になれば、まずどうすればいいのか、誰に相談したらいいのか、そもそも相談すべきかどうか、などとどうしても躊躇するのではないでしょうか。仮に相談ができたとしても、問題を理解してもらえるのか、逆に問題を誤解されてしまうことも往々にしてみられるところです。相談窓口は、相談者と会社の間をつなぐという大きな役割があります。

それは会社のためになるのか?

トラブルに対して、職場の不満や疑問に対して、会社としてどのように取り組むのか、という経営判断によるところが大きいと思います。もちろん法的な要請がありますので、もしトラブルが発生したときに、相談窓口を設置していた場合には、会社が、例えばハラスメントに対する防止措置をとっていたことを示す一定の事実にはなるでしょう。

こうした消極的なメリットよりも、より積極的に、相談窓口が機能していたことで、無用のトラブルが防ぐことができたとすれば、これは会社にとって大きなメリットであることは間違いないのではないでしょうか。

「相談窓口を設ける意味が分からない」

社外相談窓口のご提案に際して、このようなご返答を頂いたこともありますが、法的な要請云々はともかく、心情的には、

お金を払って従業員の味方になるなんて…?

ということかと…。お金を払っているんだから、従業員から相談があれば、それに対しては、会社の判断が正しいことを説得してくれなければ、意味がない、ということだそうですが、例えばハラスメントがあった、という相談があった場合には、それはハラスメントではないということを、もっともらしい理由を付けて相談者に納得してもらえるような働きかけを期待しているとすれば、それは会社の代理人の役割であって、もはやそれは相談窓口ではありません。

そもそも社内的なトラブル解決のステージでは、訴訟ではないのですから、敵か、味方か、という発想は、社内的な解決を目指す姿勢とは程遠いと感じます。従業員の疑問や不安、不満は、会社発展のきっかけになるものと考えて頂きたいというのが、ささやかな希望です。不満を漏らした従業員は会社の敵だ、と短絡的にお考えになることは、労務管理上極めてリスキーです。

トラブルの発生に際して、敵か味方か、という視点でしかとらえることができないとすれば、それはまさに「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」そのものですから、社内的な解決はほぼ不可能です。そうした発想に陥りがちな職場環境を冷却することも、社外相談窓口の一つの役割ではないか、とも感じています。