「辞めたい」という社員を翻意させる方法

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「辞めたい」という社員に対しては、残念ながら、法的には結論が出てしまっています。辞めたいという意思が固ければ、会社としてはどうすることもできません。もし退職を思いとどまらせたい、という意向を会社側として持っていたとしても、辞めたい本人が、合意退職にこだわらない姿勢を見せていれば、翻意は難しいでしょう。ですが、会社に翻意を促されて、不快な気持ちになる方は少ないのではないでしょうか。少なくとも自分の存在を会社が認めていることを示すものだからです。

「辞めたい」という社員の退職を思い止まらせたい、という意向を会社が持っているのであれば、その社員の能力や会社での貢献を評価していることをはっきりとお告げになったうえで、「辞めないでほしい」とお伝えになることが、まずは何よりも大切なことだと感じます。

恨みつらみはご法度

辞めないでほしい、という気持ちとは裏腹に、「辞めたい」と言われたことに対して、

「これまで手をかけてやったのに…」

「前回の評価だって、俺が人事に無理を言って通してもらったんだぞ…」

などの恨み言を、無意識のうちについつい言ってしまうものです。ですが、こんなことを言われて、

「じゃぁ、退職を撤回します」

などと翻意をするとはとても思えません。そんな恩着せがましいことを言われたら、あなたならどう思うでしょうか。

「そんなこと、自分で頼んだ覚えはないし、勝手に恩を売ったようなことを言われたって…」

などと思われるのが関の山ではないでしょうか。

憮然とした表情で無言を決め込んだ「辞めたい」社員に対して、あなたはご自分の感情をぶつけます。

「血も涙もないやつだ」

「義理人情が分からないんだな」

これではその社員に対する感情的な非難です。退職の翻意など、彼方へ遠のいてしまいました。それどころか、あなたに対する不愉快な気持ちが、否が応でも湧き上がってくるでしょう。そんな憮然とした態度に業を煮やしたあなたは、更に畳みかけます。

「どうせ転職してもすぐ辞めるんだろう」

「今まで会社に歯向かって転職した奴らは、みんなダメになってる。ざまぁみろだ」

「転職先にお前の情報を流してもいいんだぜ」

「転職先はウチの取引先だってことを忘れるなよ」

これでは、もう脅しです。ハラスメントなどと指摘されて、反論することができるでしょうか。退職への翻意どころか、不用意な言動によるトラブルのきっかけをつくてしまいました。感情的になりすぎたいことに気が付いたときには、すでに社内で問題になっている可能性すらあります。

「不満があったら言ってくれ」は逆効果

不満があって転職するのであれば、この発言は「辞めたい」社員を感情的にするだけかもしれません。会社がその不満に気が付いて対応することを怠ったことを、会社自らが認めるようなものだからです。ですから、言われたその社員の気持ちは、おそらく、

「今さら何を言っても無理だよ。ずっと我慢をしてきたのに…」

「それなら、何でもっと早く言ってくれないの。転職が決まってからそんなことを言われたって…」

でしょう。在職中の不満を蒸し返すだけの効果しかないのではないでしょうか。

一方で、不満は無いが、転職先の魅力にひかれたから転職を決めたような場合なら、そもそも不満なんて特に無いわけです。ですから、「不満があれば…」などと言われたとしても、

「なんか、鬱陶しいんだけど…」

と思われるだけかもしれません。

ではどうすればいいのでしょうか。その社員の退職を翻意させたいとお考えであれば、もちろんこれはケースバイケースですが、ストレートにあなたのお気持ちを伝えることではないでしょうか。

気持ちをストレートに伝えること

辞めて欲しくないのであれば、辞めて欲しくない、とはっきりと話すことです。その上で、その「辞めたい」社員が、会社にとって、職場にとって、どれほど重要か、どれほど君の存在に価値があるのか、どんなに貢献してきたのか、だからどうしても君が必要だ、ということを、これでもかというほど、熱心に語り掛けることではないでしょうか。多少歯の浮くような言葉であったとしても、気後れする必要はありません。褒められて悪い気分になる人はいないと思うからです。もちろん「褒め殺し」は論外ですが…

このときにウソや見え透いたヨイショは逆効果です。鼻で笑われて終わりでしょう。これまでの誰もが認める事実を、改めて思い起こさせるのです。

翻意ができなかったとしても

まさに熱心に「口説く」訳ですが、その努力もむなしく、翻意ができなかったとしても、恨みつらみはご法度です。気持ちよく送り出してあげましょう。エールを贈ってあげればさらに効果的でしょう。この「辞めたい」社員は、会社に対して、あなたに対して、むしろ申し訳ない気持ちになっているのではないでしょうか。そこでエールまで贈られては、感動しかないでしょう。退職後も何らかのつながりを保てれば、何かのきっかけで、戻ってくる可能性も高いと思います。ここまでの演出は、どの会社でもできることではないと思うからです。

これはほんの一例ですが、ケースバイケースでの対応をお考えでしたら、労務リスクを勘案しながら、効果的な対応方法を検討しますので、お気軽にご連絡頂ければと思います。

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