Table of Contents

会社の相談窓口の目的は、トラブルの社内的な解決にある

いわゆるハラスメント防止法により、相談窓口の設置等が義務付けられ、好むと好まざるとにかかわらず、何らかの相談窓口を設けなければならなくなり、とりあえず設けた相談窓口だから、形式だけは整えておきたい、という会社の本音も聞こえてきます。そうした本音を見透かすように、従業員も、そうした相談窓口を冷ややかな目で見ています。

【参考コラム】社外相談窓口に対する疑問・ご質問

相談窓口を機能させようという意識が希薄!?

社内的な解決とは、お互いの話し合いで問題の解決を図ることであり、解決のステージを外部化させない、法的な争いとしてトラブルを深刻化させない、感情的な対立を先鋭化させない、これが会社が設置する相談窓口の本来の目的です。ですが、それは建前上のきれいごとであって、トラブルは避けられない、起こってしまうときは起こってしまうのだから、その時のために万全の準備をしておけばいいのではないか、そんな声も聞こえてきます。

【参照コラム】コンプライアンス意識が問題をこじらせる矛盾

相談窓口を機能させることで得られる大きなメリット

ですが、せっかく設けた相談窓口なのですから、これを十分に機能させ、トラブルを未然に防ぐことができるのであれば、それに越したことはありません。というより、これまでであれば、当然のように外部化し、深刻な問題に発展にしてしまっていたトラブルを、社内的に平穏に解決できるのであれば、これは労使ともに、無用のエネルギーの浪費をしないで済むのです。そのような役割を、相談窓口に担わせることが、御社でも可能なはずです。

【参考コラム】社外相談窓口の「役割」とその「効果」

相談者の言葉を、言葉通りに受け取ってはいけない

「パワハラとして訴えます!」「精神的苦痛に対する慰謝料を請求します」「これは人権侵害です」「弁護士にも相談しています」…相談者から感情に任せた怒りの表現が次々に出てきます。まるで会社に対する挑発です。これを聞いた相談窓口の担当者は、これは大変なことになった、会社としての対策を考えなければ、と顧問弁護士に相談し、この相談者に対して、徹底防御の構えを取ります。そして、本当に一触即発の事態を招くことになります。

【参照コラム】「訴えます!」は暴走しそうな心の叫び

ですが、その前に、相談者の感情的な言葉を、表現を、そのまま型どおりに受け止めて良いのでしょうか。相談者は、会社の相談窓口に、問題の解決を相談している、ということの意味をよく考える必要があります。もしこの相談者が、本当に訴訟を起こそうとか、大きな問題にして、会社を揺さぶろう、などと考えているとすれば、相談窓口などを使って、問題解決を求めるようなことはしません。ところが、思わず感情が高まって、「訴えます」「絶対に許しません」などと言ってしまっていたとすれば、相談者に対する徹底抗戦の構えを見せる会社の対応は、誤解が招いたトラブル、社内的な解決ができるはずの問題を、自ら大きなトラブルにしてしまったことになります。つまり、わざわざ無用の労力とエネルギーを浪費させるような選択をしたことになるのです。

相談窓口を機能させれば、大抵のトラブルは回避できる

避けられるはずのトラブルを、あえて深刻なトラブルにさせてしまう。そのような事例は枚挙にいとまがありません。とくに、労使双方が平穏な解決を望んでいるのに、あらぬ誤解が誤解を呼び、いつのまにか泥沼に陥ってしまうのは、本当に残念なケースです。このようなケースこそ、相談窓口を有効に機能させれば、つまり、相談窓口の本来の目的であるところの、社内的な解決を図るというゴールを見据えた対応が徹底できれば、無駄な労力とエネルギーを、労使ともに、浪費しなくても済むのです。

【参照コラム】社外相談窓口への相談には2つのタイプがある

相談者は話を聞いてほしいのです!でも…

何でも遠慮なく言ってほしい、などとインフォメーションされるのですが、相談者が相談をしようと思っても、いつでも相談できるわけではないし、そもそも相談の仕方が分からない、電話もメールも分からない、いつも忙しそうだから、やっぱりいいや…となっていることが多いのです。

本人に筒抜けになるのでは…報復されるのでは…

また一方で、会社には相談窓口はあるが、それは総務や人事の担当者が兼任しているため、相談内容が筒抜けになるのではないか、トラブルの相手に知られたら報復されるのでは・・・などの不安から、既存の社内の相談窓口が機能していないことも多いのではないでしょうか。

相談窓口の役割を説明することが大切

相談窓口に与える役割は会社によって様々かと思います。問題の解決をすすめるためには事実関係の特定は不可欠でもあり、問題の相手方当事者からも事実関係の確認は当然行うべきものですから、「相手に知られずに…」問題解決をするなどということは、できないのですから、相談者に対しては、きちんとその旨の説明をしなければなりません。

本人が知らずに相談情報が洩れることが重大な問題

ですが、「相談内容が問題の相手方当事者に知られることはありません」とか、「ここでの相談内容を相談者の承諾なく口外することは無い」などと表示しておきながら、相談者本人が知らないうちに、社内での公然の事実になっているような、いわばだまし討ちのような状況が問題なのです。

【参照コラム】相談窓口に関するトラブル

どこに何を開示するのかを明確にする

相談者からの相談内容は、コンプライアンス窓口から、逐一人事などの関係部署に報告されれるのであれば、その旨をはっきりと明示しておかなければならりません。もっともそれでは人事に相談窓口を設けていることと何も変わらない訳ですが、だまし討ちのようなアンフェアな状態よりは妥当とは言えると思います。

問題解決のフローを明確に

相談者が心配なのは、相談をした内容がどのような扱われるのか、という点です。この点については、相談窓口への相談から問題解決に至る手続きの流れを明確にすることで、相談者に安心感を与えることができます。相談内容が外部に漏れることはありません、とか、相談者が特定されることはありません、というだけでは不十分です。解決までのフローを具体的に示すことが重要です。そしてそのフローに従った解決プロセスを確実に踏むことが重要です。せっかく解決フローを示していても、そのフローにはないルートでの相談内容の通知や、あるいは知るはずない同僚などが知っていた、などの事実を相談者が知った場合、相談窓口の信頼回復は、極めて困難になってしまいます。

相談窓口で相談を受け付けてもらえない!?

このように、経営者がいくら話を聞きたいと思っても、話をしてもらえるような環境が整っていなければ、仕組みだけを作っても機能不全に陥ります。せっかく相談窓口を設けるのであれば、実際に相談をしてもらえるような、機能する仕組みを構築することが大切ではないでしょうか。

相談者の出鼻を挫く、相談対応の狭き門

ところが、相談者が勇気を振り縛って相談したのに、「そうした問題は人事部へ直接お願いします」とか「事実関係が特定できないので、対応ができません」「匿名での相談は受け付けられません」などと門前払いをされてしまう、どうすればいいのか、また、相談窓口があるのは分かっているが、手続きが煩雑すぎて相談する気が無くなった、というご相談が私に届きます。

はじかれた相談は、会社外部に…

相談窓口の役割として、また与えられた機能によっては、対応できない相談内容も相当数に上ると思いますが、せっかく相談窓口に寄せられた問題を、受付すらせずに門前払いをしてしまっては、その段階でその問題が水面下に埋没してしまうことになります。そうした結果をあえて意図している場合は(その考え方の是非はともかく)別として、社内的な解決の余地が十分にあるような問題でも、相談窓口では対応しない、と相談者が考えれば、問題が外部化するリスクは避けられません。

【参考コラム】「労基署に行きます」という部下の真意

相談者の大半が相談窓口に期待するのは「問題の解決」ですが…

相談窓口に相談して、問題が解決するのかどうか、相談者は疑心暗鬼なのです。それは相談窓口の機能が明確になっていないことが原因です。相談者は、相談窓口に問題を報告すれば、問題は解決すると思っています。相談窓口に相談すること自体が、相談者にとっては、とても勇気のいることなのだ、ということを理解しておくことが大切です。

「ここでは話を聞くだけです」では身も蓋もない

そうした気持ちの相談者が、意を決して相談窓口に相談をしたときに、「ここでは話を聞くだけです。」などと返答されたときの落胆は如何ばかりでしょうか。もしここで話が終わってしまった場合には、せっかく把握できたはずの問題の前兆を、みすみす取り逃すことにもなってしまいます。

相談したけど解決しない、意外に多い理由とは

こんなに辛い思いをしているのに、会社は何もしてくれない、相談窓口に相談したけれど、「人事にこの問題を伝えますか」と聞かれただけで、その後全く音沙汰がない、状況は何も変わらない…こうした気持ちを抱く相談者は、相談窓口に不信感すら覚えます。

問題の受け止め方にミスマッチが生じる原因とは

なぜこのようなことが起こるのか、それは相談窓口の担当者が怠慢だから、ではなく、相談者が問題として考えている事実を、相談窓口の担当者が理解できていない、あるいは事実関係は理解できていても、それが法的にどう問題なのかが理解できないために、解決の主体となる社内の人事などの特定の部署に、問題であることを伝えきれないことが原因です。あるいは、相談者が事実関係をうまく説明できていないということも往々にしてあることです。つまり、

問題の事実が特定できていないか、問題として理解できていないか、

そのいずれかではないでしょうか。事実の特定は、相談者と相談窓口の担当者の意思疎通の問題であり、一方、問題に対する理解は、相談窓口の担当者と解決主体となる特定の部署の担当者の意思疎通の問題です。後者の場合には、相談窓口の担当者が問題の重要性を理解しているのに、この問題の解決を持ち掛けた部署の担当者が問題の重要性を全く理解しない、というケースはかなり多いのではないでしょうか。

【参考コラム】「お菓子外し」を笑う前に

会社の認識と、相談者の認識は、全く正反対を向いている

問題の早期の収束、未然防止を旨とする労務管理を進めることが会社のスタンスです。一方、相談者は、問題があることを指摘して、その解決を求めますが、この両者が直接向き合った場合、非常に対照的な対応が現れます。会社側は、相談者の指摘する事実が問題とならないことを、就業規則などの諸規程や法令判例などを根拠に説明しようとします。ですが相談者にとって、事実が問題ではないなどという判断は、受け入れられないのです。確かに会社の判断は法的には正しいのかもしれません。しかし、相談者の置き所の無い気持ちを収束させることには、完全に失敗しています。

【参照コラム】相談者がパワハラにこだわる本当の理由

問題に対する感受性の違いと言っても良いと思いますが、こうした場合、どうすれば問題として「感じて」もらえるのか、まで考えることが、相談窓口の役割ではないかと思います。認識のギャップをどう埋めるか、つまり

相談窓口の真価を問うのは、「話をどうつなぐか」

であると思います。相談窓口は、確かに話を聞くだけですが、「話を聞くだけです」とだけ言ってしまったのでは身も蓋もありません。一方で、相談窓口そのものに解決能力を持たせることは稀です。大切なことは、相談内容を吟味し、その問題の重要性を勘案して、解決能力のある社内の部署に話をつなぐことです。または、その糸口を相談者にアドバイスすることです。その際に大切なことは、相談者が話す問題の原因の核心はどこにあるのか、本当は何を言いたいのか、これを見極めることです。そして、問題の重要性を理解してもらえるような問題の説明ができるか、が問題解決に至るかどうかの大きなカギを握っている、と思います。

【参考コラム】コンプライアンスの隙間を埋める社外相談窓口

オフィスハラダの社外相談窓口は、そんな従業員と経営者・人事労務のご担当者の間に入って、コミュニケーションの橋渡しをします。まずは、オフィスハラダの社外相談窓口の具体的な相談対応について、詳細のご案内をこちらからご覧ください(「社外相相談窓口の詳細ご案内」のページへのリンク)。