残業時間を減らす方法

適切な労働時間管理は急務

今や労働時間管理、残業管理は、未払い残業代の請求問題への対策のみにとどまらず、むしろそれ以上に大きな課題となっているのは、長時間労働による健康への影響です。従業員に万が一脳・心疾患や精神障害の発症があった場合、長時間労働の事実が認められれば、会社が責任を免れる余地は全くないと言っていいでしょう。

労働時間を削減するという意味

残業代を減らすのではなく、労働時間そのものを減らさなければ、これらのリスクを回避することはできません。その場合の労働時間ですが、形式的に労働時間を減らすだけでは意味がありません。実質的に労働時間を減らす必要があります。そのためには、仕事の量や、仕事の仕方、仕事の配分を、いかに効果的効率的なものにするか、という本質的な課題に取り組む必要があります。残業「代」は、残業時間を減らした結果であって、状況によっては、逆に増えることも考えられます。つまり、残業「代」を減らすことだけを考えた場合には、残業「時間」削減の問題解決には結びつきません。

残業時間を左右する二つの要素

残業時間を左右するのは、「仕事の量」と、その「処理能力」の二つです。仕事の量が多いのであれば、その仕事の内容をまずは確認すべきでしょう。業務に優先順位をつけ、不要不急の業務をしないようにすることが第一ステップです。併せて処理能力を上げる工夫も大切です。処理能力を上げる方法は、スキルアップとボリュームアップの二つがあります。個人の能力アップに限界があるのであれば、人材を増やすほかありません。もっとも個人の能力を上げると言っても、やみくもにスピードアップを求めても、成果の質が低下してしまったり、疲労の問題やモチベーションなどに影響を及ぼす可能性があります。具体的な対応方法は、職場の状況に応じて検討しなければなりませんが、基本的な考え方は変わらないのではないでしょうか。

仕事の量が減れば残業は減るのか

では残業時間を減らすために、仕事の量も減らしたが、残業時間は変わらない、ということも起こります。これは仕事の量が減ったことで、処理能力も仕事の量に合わせて下がってしまったことが原因です。残業時間を減らすという意識が希薄である場合には、時間がかかっても処理能力を落として負担(疲労)を少なくした方が良いという判断が働いたことが考えられます。仕事が量が減っても処理能力を維持させるためには、残業時間削減に対する意識付けのための何らかの工夫も必要でしょう。

労働時間の実態把握が必要不可欠

効果的効率的な業務遂行のための工夫は、まず現状を把握することが大前提です。仕事の内容や特殊性から労働時間の把握が困難な場合や、仕事の進め方について従業員に労働時間配分の裁量を与えている場合でも、何らかの方法で労働時間を把握する必要があります。その上で、その労働時間が業務量や仕事内容から適当であるかを検討することができるからです。

残業などを従業員の裁量に任せている場合には、業務日報とタイムカードを併用することで、業務の内容と労働時間が適当であるかを確認することができます。また、残業については報告義務を課すとか、事前あるいは事後の上長からの承諾を得ることなどの手続を加えることで、不要不急の残業時間を削減することができる可能性があります。

就業実態との整合性がとれているか

労働時間制度、などというと敷居が高いイメージがありますが、企業規模のいかんを問わず、労働時間についてのルールが必ずあります。もし何もそうした制度などはないとしても、その場合には、労働基準法が規定する原則的な労働時間制度が適用されることになります。

なぜ多様な労働時間制度が認められているのか

労働基準法上、労働時間制度は多様な選択肢があります。これらの制度上認められた労働時間制度をどのように活用すればいいのか、職場の就労実態を十分に反映したものとすることが肝要です。

例えば、労基法上の原則は、ご存知の通り、1日8時間、週40時間、を上限としています。従って、これを超える労働時間は違法なのですが、労使協定を届け出ることで、免責されます。そのため、多くの企業がこの労使協定を届け出ています。

問題はこれだけではありません。労働時間制度の選択が重要なのは、時間外労働=残業代の発生、と大いに関係があります。労使協定の届け出によって労基法違反の状態は免れたとしても、残業代の支払い義務は免れません。つまり、労働時間制度の選択のポイントは、いかに時間外労働を最小限に抑えることができるか、という点にあります。

労働実態を反映した労働時間制度の選択肢

原則的な労働時間である1日8時間、週40時間では、例えば、ある日は6時間程度の業務で十分である一方、別のある日は、10時間程度の業務が必要である場合、2時間の時間外労働が発生してしまいます。しかし、平均すれば1日8時間の枠に収まっています。このように、日によって、あるいは時期によって業務に繁閑の差がある場合には、これらを平均して原則の枠内に収まっていれば、時間外労働は発生しないとするものが、変形労働時間制というものです。

変形労働時間制は、日によって労働時間が異なったり、時期によって労働日数が多くなったり、少なくなったりするため、あらかじめ労働時間や労働日を指定しておく必要があります。また変形労働時間制度の適用に際しては、労使協定などをあらかじめ締結しておかなければなりません。

変形労働時間制の目的は、労働時間の削減

しかしここで注意をしたいのは、労働時間制度の選択の問題は、時間外労働を減らすことであって、残業時間=残業代を減らすことではない、という点です。結局同じことではないかと思われるかも知れません。確かに結果として残業は減るかもしれませんが、残業を減らすことを強調しすぎると、残業すべきことも柔軟に対応できないような職場の雰囲気が出来上がってしまうでしょう。ややもすると賃金不払い残業を助長することにもなりかねません。

残業を含めた労働時間の削減は、制度としての選択の問題であって、必要な残業はしなければ業務効率が落ちることになります。一律な残業禁止ではなく、残業をしなくても済むような労働時間制度を選択し、どのように設計・運用するのか、という問題です。

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