社外相談窓口への相談には2つのタイプがある

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社外相談窓口の大きな役割の一つは、問題の社内的な解決にあります。相談窓口をあえて会社外部に設けることで、会社内部に設けたのでは容易に把握できない問題を汲み上げ、その問題を社内的にどう折り合いをつけるか、その仲介役を担うことができるかが、外部相談窓口の真価を問うことになります。

その社外相談窓口に寄せられる相談は、解決行動の有無によって、大きく次の二つのタイプに分けられます。

一つは、社内的な解決行動を全く起こしていない方が、何をしていいのか分からない、どうすればいいのか、というご相談です。つまり、まだどこにも相談していない、ということですから、当然会社側の担当者は知る由もありません。

実はこうしたタイプの相談は、社外相談窓口が受ける相談の大半を占めるものです。

こうしたご相談者の意向は、誰にも知られずに、穏便に解決したい、というケースが多いように感じます。会社に知られずに問題を解決することなどできるのか、と考えてしまいそうになりますが、実は、こうした相談こそ、会社にとって極めて重要なものです。

ある日突然の退職届

採用して数か月、ようやく職場にも慣れた頃かと思っていた矢先に、何の前触れもなく退職届を渡されます。

「どうしたの、いきなり…」

「申し訳ありません…」

「何か、あった?」

「…いいえ…別に」

「何か理由があるんじゃないかな…できれば教えてほしい…」

「別に、会社に不満があるとかじゃないんです…」

「仕事が難しかった、とか…?」

「いえ、仕事はとても好きでした…」

「じゃあ、本当は仕事を続けたかった…?」

「…」

「誰にも言わないから、どうして辞めたいって思ったのか、教えてくれないかな…」

「…すみません…もう、転職先も決まったので…」

「そうか…残念だなぁ…」

結局、退職の理由は分からず仕舞いです。もっといい条件の仕事が別に見つかったから辞めた、ということではなさそうです。人手不足の折、戦力になるスタッフに離職されるのは大きな痛手です。もし外部相談窓口が有効に機能していれば、そして、その抱える問題を乗り越えられれば仕事を続けたいという意向が本人自身にあれば、さらに、その社外相談窓口に相談をするという行動を起こしていれば、離職を避けることができます。

これが例えば、仕事にやりがいもなくて、飽きちゃったので辞めます、ということであれば、会社としても早々にお引き取り願いたいというところでしょう。もっとも、こうしたスタッフは、そもそも相談などと言うことをするとは思えませんし、仮に相談をしたとしても、その相談内容から、本人の意向は見えてくるでしょう。この先は、会社側として、どう対応するかという問題になります。

さて、会社にも相談できない、でもできれば仕事をつづけたい、どうしたらいいのか、という相談に対してです。ここで社外相談窓口としての対応の仕方によって、結論は大きく変わってくるでしょう。相談対応の真価が試されるところです。

社内的な解決の芽を摘んでしまう対応

まず、こうした相談があった、ということは、その相談窓口を、多少なりともこの相談者は信頼をしている、ということの表れかと思います。ですから、この信頼に応えなければなりません。

ここで問題の理由やその事実関係を説明が相談者からあったとしても、それを「不用意に」会社側の担当者、ましてや人事担当者などにお伝えになることは厳に慎まなければなりません。相談者は、会社側には知られたくない、という意向を持っているのに、翌日になったら突然人事から呼び出しを受け、この相談をした問題について面談を受けた、詰問をされた、などということはあってはならないのです。

こうした場合、この相談者は、この社外相談窓口に対して、激しい不信感を持つことは言うまでもありません。問題は外部化する可能性が極めて高くなります。もう社内的に平穏に解決するなどという余地は、全く無くなってしまいました。

問題はどこにあったのか

社内的な問題解決には、会社による主体的な対応が不可欠です。ということは、いずれにしても、その相談された問題を、どのような形であれ、会社側に伝える必要があります。問題は、そのプロセスと方法です。

上記の問題では、相談者の意向を無視して、相談窓口担当者の個人的な判断で会社側に相談内容を伝えたことにあります。このケースでは、この相談内容を知った人事担当者が、この相談者に対して、相談したことを非難するという違法性の強い対応をしたことも、この状況に拍車をかけてしまったようです。

では、どうすべきだったのか

当然のことですが、相談者に対しては、問題の解決の主体は会社であることを理解してもらったうえで、相談内容の伝え方について、相談者の意向を汲んだ納得のできるものにすることです。会社側への限定的な情報提供では、限定的な解決措置を図ることしかできないことも説明をしておく必要があります。

上記の相談者の納得が得られた範囲で会社側に相談情報を伝える訳ですが、その際には、本人の解決措置に対する意向なども伝えておく必要があります。相談者が事実関係の開示を望んでいないのに、人事の対応として、問題の相手方の処分について理由とともに開示する、などということは手続き上必要なことであったとしても、するべきではないのです。

さて、もう一つのタイプですが、続きはこちらからご覧ください。

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