(一つ目のタイプから:続き)もう一つのタイプは、すでに社内的な解決行動を起こしているが、解決に至らない、相談者の意向に沿った対応がなされていない、という状況で、会社所定の外部相談窓口に解決を求める、というものです。

職場内での問題について、すでに職場内で状況については共有されているが、その職場の上司などがその問題の解決に積極的でない、あるいはその上司自身が問題の相手方などで、すでに感情的にぶつかっているような場合もあります。

こうした状況での相談者は、かなり意を決して問題解決を切望していることや、問題の上司への敵意をむき出しにすることも往々にしてあるところです。自身の離職などを全く考えていない一方で、上司を解雇して欲しい、慰謝料を請求したい、などと意向を告げられることもあります。

「上司を処分してください!」

「あまり穏やかではありませんね…」

「もう、あの上司一緒に仕事できるとは思えません」

「異動をしたい、ということですか」

「私はこの仕事を続けたいです。上司が異動すればいいんです」

「といっても、人事は会社が決めることですし…」

「上司のパワハラを誰も注意しないのがいけないんです」

「この問題を、誰かに相談しましたか?」

「言いましたよ。直接上司に。パワハラを止めろ、って」

「勇気がありますね」

「しょうがないじゃないですか。誰も何も言わないんだから。みんな無責任です…」

「それで、上司は何と答えましたか?」

「ものすごい顔で、私を睨みつけました。それからずーっと無視です」

「なるほど…その状態では仕事は難しいですね」

「そうですよ。上司のくせに…クビにしてください」

「…」

相談窓口の受付担当者は、この負けん気の強い相談者を、どう落ち着かせればいいのか、黙り込んでしまいました。

トラブルの相談で最も多いのは、上司と部下の問題です。職場ではこの問題が半ば公然化されていて「あっ、またやっている」という状況かもしれません。相談を受けた同僚や他部署の管理職なども「あれはお互い様だから」などと、問題として全く認識していないこともあるでしょう。

ですが、この状況を積極的に受け入れている従業員は居ないでしょう。嫌だなぁ、などと思いつつも、その状況に「慣れている」のです。問題として指摘された上司によるパワハラの範疇に入り得る問題の言動や、当たり前のように乱暴な言葉で上司に盾突く部下のやり取りを、お互いさま、として放置しておくことが適当とはとても思えません。

説明する努力が重要

事実関係の確認プロセスで、問題の核心は容易に見えてくると思いますが、すでに感情的に折り合えない当事者間の心情を考えれば、状況を冷静に受け止めることができるか、極めて疑問な場合もあるでしょう。ましてや、自分に非があるなどと、到底認めることなどできないのではないでしょうか。

客観的な事実を根拠に、一刀両断にすることは、法的に問題が無いとしても、当事者間のわだかまりを残すだけでなく、人事上の判断に対する強い憤りを植え付けることになりかねません。仮にその判断に変わりはないとしても、その判断を実行するに至るプロセスで、当事者に対して、どれだけ理解を得られるための説明を尽くしたか、努力を見せたか、によって、その後の展開は大きく変わってくるのではないかと思います。

状況は一様では全くなく、まさに千差万別、ケースバイケースでの対応が求められる訳ですが、このように、トラブルの当事者の間に入って話し合いの仲立ちをするというのは、まさに相談窓口が真価を発揮すべき場面ではないでしょうか。

相談者の意向の裏にあるもの

すでに問題が職場内で公然化している場合、相談者が腹に据えかねての相談であれば、口から出てくるのは激しい言葉ばかりです。「上司を解雇して欲しい」「懲戒処分にして欲しい」「上司は謝罪すべきです」「慰謝料を請求します」などなど、相談を受けているこちらが「大丈夫だろうか?」などと心配になるようなものばかりです。ですが、本当にそれを正面から受け止めるべきかどうかは、慎重に考えるべきでしょう。

確かに相談者本人の偽らざる気持ちかも知れませんし、それを感情的にそのまま口にしてしまっただけかも知れません。あるいはそうした要求が、どのような意味を持つのか、自分自身にどのような影響があるのか、全く考えずに口にしているとも思えます。大切なことは、そうした意向を実現してあげる方法を考えるのではなく、それらの言葉に隠れた相談者の真意を汲み取ることが、必要でしょう。実際にもそうだと思います。

本当に慰謝料請求をしたいのであれば、会社が設置する相談窓口などに相談するでしょうか。社内的に話し合いで折り合いを付けたいと思っているからこそ、会社が設置する相談窓口に解決を求めているのです。

オフィスハラダの社外相談窓口の相談対応は、このようなケースでは実際にどうするのか、ご説明いたしますのでこちらからご連絡ください。