「隠れハラスメント」は深刻な盲点

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ハラスメントの加害者には、私は大きく3つのケースがあると思っています。一つは、ハラスメントを理解できない、無意識の加害者、二つ目は、ハラスメントを理解しつつ、開き直りのように肯定する大っぴらな加害者、三つめは、二つ目と同様に、ハラスメントの問題を理解しているのですが、こちらは逆に隠れてこそこそハラスメントを続ける加害者、です。「隠れハラスメント」は、この三つめの加害者の問題です。

上司や経営者らの前では、常に優等生の社員が、特定の人間関係の中に入ると、その言動が豹変するケースがあります。社内での立場上、自分より下の立場のスタッフしかいなくなると、突然乱暴な言葉遣いになり、同僚らを罵ったり、からかう、バカにする、といった言動を始めるが、あくまでも特定の人間関係の中だけで行われるものであるため、本来であれば注意指導をすべき立場の上司などからは、優秀な社員という認識をされているため、この社員によるハラスメントを人事などに相談したとしても、まともに請け負ってもらいないどころか、逆に「お前に問題がある」などと、逆に叱責を受けるようなことまで起きます。

こうしたいわば狭い空間での意図的なハラスメントは、セクハラと類似する傾向があるとも考えられます。つまりこのハラスメント加害者は、ハラスメントをすること明確に意図していること、そのハラスメントは、許されない行為であるもの、あるいは、公然と知られてはいけないもの、という認識を持っている確信犯である、ということです。

このハラスメント加害者は、ハラスメントを続けることで感情的なバランスを保っているという側面がある可能性もあり、非常に繊細なメンタルの持ち主であるとも言えると思います。一方で、社員としての能力も高く、貴重な人材とされているため、ややもするとこの社員の問題を会社として擁護するような職場での状況が生まれている場合、ハラスメントのターゲットとされたスタッフは深刻な状況に追い込まれる可能性があります。

問題解決のジレンマ

この問題を解決しようとする場合、まずハラスメントの事実関係について、この加害者は、まず認めることはありません。通常ハラスメントに関する事実確認では、確信犯ではない加害者とされた社員の場合は、適切に対応するものですが、意図的なハラスメントの確信犯である加害者である場合は、とにかく全面否認という対照的な対応を見せます。仮に録音などのエビデンスがあったとしても、それは自分の声ではない、とか、社内での隠し撮りは懲戒処分だなどと、攻撃は最大の防御だと言わんばかりの対応をします。

特に加害者が複数の場合、気心の知れた同僚などが一緒になって調子に乗る形でハラスメントが続けられるのですが、仲間がいることで気が大きくなっているのか、開き直りのような返答をすることもあります。

こうした確信犯的ハラスメントの真の原因は、私見ですが、彼ら彼女らの能力を評価する会社、人事評価という後ろ盾があることです。だからこそ「安心して(?)」ハラスメントが続けられる訳です。

実はこの問題解決には大きなジレンマがあります。それは、このハラスメントの問題を解決しようとすれば、優秀な確信犯的ハラスメント加害者の人材能力を失う可能性がある、ということです。ハラスメントの加害者を取るのか、被害者を取るのか、という二者択一の問題として考えるべきものではありませんが、事実上、問題解決に至るプロセスで、そのような形になってしまう可能性が高いと感じます。

ハラスメントの被害者の救済をせずに、加害者を擁護するなど、全く許されないものですが、組織の中の風向きは、こうした問題とは裏腹に、怪しげな方向に向かうこともしばしばあるのです。ですが、このような対応が今後も続けられる状況にあるとはとても思えません。ハラスメントへの対応については、会社の外堀は少しづつではあっても、埋められ続けるからです。

では、「隠れハラスメント」の解決をどう図るか

隠れハラスメントの加害者は、ハラスメントが許されないものであることを認識した上で、それでも止められないハラスメントを、すくなくとも自分を評価する上司らに知られないように、コソコソとハラスメントをしている訳です。こんな卑劣なハラスメントの加害者には、厳罰を与えるべきとの声は間違いなく正論かと思いますが、このハラスメントを公然と処分した場合、おそらくはこの加害者の社内での人材としての立場は、間違いなく消滅するでしょう。会社にその意思が無かったとしても、加害者本人のプライドが許さないかもしれません。ここからは、この加害者を会社が、人材として活用することを前提に、どのような解決を図るべきか、考えてみます。

まず、処分をしないという選択肢はあり得ません。何らかの処分は必ず必要です。これは社会的な背景を考えれば、いわばハラスメントの隠ぺいなど、許されるものではないからです。この問題が公になった場合の状況をお考えになれば自明でしょう。処分に情状酌量の余地はないでしょう。むしろするべきではありません。被害者の心情としては、厳罰を求めたいからです。

ではどう処分するのか。これは一つの選択肢ですが、処分自体は、厳格に行うべきでしょう。むしろ手心などを食えわえるべきではありません。処分自体は幾分厳しすぎるくらいの処分にすべきかもしれません。

その一方で、処分自体は、加害者と被害者に間で、その内容を理解した上で、隠密裏に実行します。口外無用にするということです。「隠れ」ハラスメントは、「隠れ」たままま解決を図る、ということです。これについては、被害者の理解が不可欠でしょう。加害者についても、公然化されないことを前提に、重い処分を飲ませるのです。

併せて重要なことは、この加害者に対する人事上のその後の処遇です。潜在的にハラスメント加害者となる要素を持っていることは否定できませんから、そのような状況に陥らないような環境を整えることが重要でしょう。間違ってもかつての被害者に対する報復などは絶対にあってはなりません。もしそのようなことが起こった場合には、ここでこの加害者としての人材に見切りを付けなければならなくなるからです。徹底した当事者間の隔離は必須と思われます。

これはあくまでも一つのプランです。当然ですがケースバイケースで対応を考えなければなりません。ご相談はこちらからお気軽にご連絡頂ければと思います。

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