弁明の機会を与えなくても懲戒処分は有効か?
懲戒処分を有効と法的に認められるための手続きとして、弁明の機会が与えられることは最低限の条件という判例法理が確立していますが、最近、この弁明の機会が与えられなくても、懲戒処分を有効とする裁判例が出てています。これをもって、弁明の機会の重要性が低くなったと解釈するのは早計でしょう。
これらの裁判例をよく見ると、弁明の機会として、はっきりと与えられなかったかもしれないが、処分に至る経緯をみれば、弁明の機会に代わるような、あるいは、弁明に機会をあえて与えなくても、それに相当するような機会が十分に与えられていたことが分かります。
つまり、弁明の機会が与えられなくても処分が有効なのではなく、弁明の機会という形式的な手続きを経ていなかったとしても、実質的に弁明の機会が十分に与えられていたような状況が伺えるのであれば、その実質を重視したものと考えるべきでしょう。