これから、ハラスメント相談窓口などの従業員の方が直接相談できる相談窓口の設置を検討するなかで、社外相談窓口などとして、これを外部に委託しようとお考えになるご担当の方に、確認しておきたいチェックポイントを上げてみました。
ハラスメント相談窓口などを社外相談窓口とするなどの外部委託のきっかけは、ハラスメント規制法の施行や、均等法などの法改正に伴う対応かも知れませんが、相談窓口の外部委託といってもよく分からない、何をどう考えればいいのか…というお悩みにこたえる視点を差し上げたいと思います。
外部相談窓口の7つのチェックポイント
- 外部委託の目的の明確化…なぜ外部に委託するのか、そもそも、なぜ会社内部ではなく、外部に相談窓口を設置しようと考えたのか、を改めて確認すること
- 外部相談窓口に期待する効果は?…相談窓口に、具体的に何をして欲しいのか、上記1.の目的の理由となるものであり、御社にとっての外部委託のメリットの確認をすること
- 期待する効果を実現する機能が備わっているか?…具体的に外部相談窓口にして欲しいことを、どの程度実現できるのかを確認すること
- 相談対応フローの明確化…上記3.の外部相談窓口にして欲しいことが、どのように実行されるのかを、相談受付から問題解決に至るプロセスの説明を求めて確認する
- 相談に対応するのは誰か?…相談対応のどの段階で、どのようなスキルを身に着けたスタッフが、どのような対応をするのかの説明を求めることで、相談品質を確認すること
- 委託先のこれまでの相談対応実績は?…上記4.で確認した相談対応のフローを、具体的にイメージすることで、上記3.の実効性を確認すること
- 費用対効果を検討すること
ですが、実際に外部相談窓口を運営する会社側によるプレゼンの際に、上記4~7については、あらかじめ説明があるでしょう。その中で、御社として、上記3の実効性を、4~7の各説明の局面で確認していく、という流れになるでしょうか。
社外相談窓口の意義は、会社外部にあるからこそ発揮できる「何か」にある
外部委託の目的は、社内的な問題解決の実効性を上げるという本来の目的に加え、社内での業務負担の軽減、相談件数の増加を図る、水面下の問題の汲み上げ、とにかく広く社員の話を聞いてもらう、その他様々なものがあると思います。実はこの点をはっきりとさせておくことで、外部相談窓口の効果を、かなり明確に把握することができると思います。
相談対応プロセスで、その外部相談窓口の守備範囲が分かる
そして、その目的を満足する相談対応は、どのようなものが望ましいのか、具体的な対応プロセスを確認することで、より分かり易くなるでしょう。特にこの点は、委託先事業者が提供する社外相談窓口の業務内容の強みや弱みが、顕著に表れる局面であるとも言えるでしょう。そうした意味では、外部委託の目的に応えられる対応ができるかどうか、まず最初に、率直に投げかけてみると、意外とはっきりと答えが見えてくるのではないでしょうか。
例えば、電話対応がメインの相談窓口の場合
例えば、電話受付がメインの外部相談窓口は、まず話を聞いてもらえる、という大きなメリットがあります。もし御社のご意向が、従業員の話を聞いて、まずはガス抜きをして欲しい、という点にあるとすれば、電話受付対応ができる社外相談窓口であることは必須でしょう。特にどうしても話が長くなる相談者への対応に苦慮している社内相談窓口の担当者の負担を軽減することを目的に、社外相談窓口を導入する場合には、電話相談など、直接話を聞いてくれる相談窓口である必要があります。
相談受付時間を確認する
ここで確認するポイントは、相談受付時間です。おそらく24時間365日対応、であればベストですが、費用負担もそれ相応でしょう。仮に24時間365日対応である場合の、その効果についても考える必要があると思います。例えば、深夜とか、日曜祝祭日などに相談が多いなどの傾向があれば、それなりの意義も見いだせるかもしれませんが、どうでしょうか。
逆に、平日午前9時から午後5時までが相談受付時間であるような場合、勤務シフトが暦通りでは無いような業務であれば別ですが、どこかで仕事を中断しなければ相談できないかもしれません。また、一回の相談時間に制限があるのか、なども重要な要素でしょう。
相談対応からどのように問題解決につなげるのか
そして、その相談内容を、次のどのように問題解決につなげるのか、具体的にその相談内容をどのように扱うのか、これはとても重要な点です。ですが、電話相談の場合、話をどう整理するのか、問題の焦点はどこにあるのか、などを何処まで見極めることができるかなど、相談対応をする担当者の対応スキルによって相談者の満足度は大きく左右されることになると思います。
相談対応事例で、スキームの具体的なイメージを描く
相談対応プロセスについての説明を受けた場合には、具体的な相談事例について、どのように対応するのか、是非説明を求めてください。ここには重要な意味があります。取り上げられた具体的な相談事例は、とても様々な判断要素となる情報源になるからです。
一見、相談対応スキームの具体的な説明のように感じるかもしれませんが、実はその中に、普段はどのような相談を受け、どのように対応しているのか、がつぶさに発見できるものなのです。もし可能であれば、その具体的な相談事例について、経緯と顛末について、お聞きになると良いでしょう。その外部相談窓口の対応スキルから経営スタンスまで、よく見えてくると思います。
問題解決にどの程度コミットするのか
ここでの一つの視点は、問題解決にどの程度コミットするのか、どのように対応するのか、という点です。問題の法的解釈とあえて淡々と説明するだけのもの、オフィスハラダの社外相談窓口のように解決提案まで踏み込むもの、どちらかというと相談者の感情的な側面を重視するもの、仕事の仕方やコミュニケーションの取り方などのカウンセリングに落とし込むもの、など様々ですが、外部相談窓口に御社が何を求めるのかという視点、社外相談窓口の導入の目的に合致するかどうかという判断基準があれば、選択肢は自ずから絞り込まれてくるでしょう。
まずはオフィスハラダの社外相談窓口の相談対応等の概要について、説明をお聞きになりませんか。お気軽にこちらかご連絡ください。
外部相談窓口のターゲットは、サイレントマジョリティーの声
問題解決に向けてのっ行動力のある相談者は、社内に相談窓口などが無くても、会社外部に所定の社外相談窓口などが無かったとしても、解決能力があると思われる上司や人事などに、自ら積極的に解決を求めるはずです。乱暴の言い方になりますが、こうした行動力のある相談者に対しては、あえて相談窓口などを設ける必要はない、とも言えます。
むしろ会社にとって重要なのは、問題の抱えながらも解決行動を起こさずに我慢をしてしまう従業員ではないでしょうか。彼ら彼女らの声を聴くことで、隠れた問題を汲み取ることができることになります。その結果、理由の分からない唐突な離職や、青天の霹靂(と会社側の担当者は感じる)のようなトラブルを未然に防ぐことができます。
「そんな、あえてパンドラの箱を開けるようなことをしなくても…」などとお考えになるでしょうか。ここから先は価値観の問題かも知れませんが、少なくとも今日の人材不足の解決を解くカギは、このパンドラの箱の中にこそあるのではないか、と思うのですが、みなさんはどうお感じになるでしょうか。