トラブルから考えるスポーツクラブの労務管理

スポーツクラブと言っても、様々な業態があります。スイミングスクールから派生的に展開している総合スポーツクラブや、大人向けのフィットネスジムとして展開しているクラブ、最近では水回り関係の施設を一切持たない低廉かつ手軽なフィットネスジムなどがチェーン展開しているものなど、多岐に渡っていますが、いずれの業態であっても、スポーツクラブのサービスの主体となるのは、スタッフ一人一人の発する言葉であり、行動そのものであることに何ら変わりはありません。そうした意味で、スポーツクラブの労務管理は、会員に対するサービス内容を左右する、極めて重要な経営管理の要素の一つであると言えると思います。

スポーツクラブの屋台骨を支えるのは「女性スタッフ」

スポーツクラブの草分け的存在であるスイミングスクールでは、女性スタッフはクラブ運営の中心的な役割を担っています。今日でこそ、女性活躍推進云々などと声高に叫ばれていますが、スポーツクラブでは、その当初から、女性スタッフが現場での戦力の中心的存在でした。そうした意味では、潜在的に女性が活躍しやすい職場環境が作られてきている訳ですから、少なくとも、他の業種業態と比較して、ということになりますが、女性にとってもやりがいのある、働きやすい職場環境になっていなければならないはずです。均等法や育児介護休業法に規定するスタッフに対する義務規定も、比較的受け入れられやすい職場ではないかと思いますが、その実態はどうでしょうか。

育児休業制度を積極的に受け入れられないベテランスタッフ

同じ女性として、出産・育児という大役を担ってきた状況をもっともよく理解しているから、肯定的に受け入れてもらえると思いきや、むしろ厳しい目が向けられたりします。「私が出産したときは、育児休業なんてなかった、今は恵まれすぎている…」という職場内での反発です。「何で育児休業のために私が犠牲にならなきゃいけないの…」そういう話がちらほら耳に入れば、育児休業を取りたいという希望すら、抱くことに恐怖心が生まれます。

これに対して、「今は育児休業が当たり前のご時世だから…」などと説明をしたところで、すんなり納得してくれるとは思えません。その原因は、理屈ではなく、感情の問題だからです。こうした問題に対しては、教科書的には、育児休業を忌避するような発言は、ハラスメントにも抵触するものであって、懲戒処分の対象ともなるものだから、現に慎むように、ということかと思いますが、表に出てくる発言を抑え込むことはできるとしても、それに対する反発が穏やかに収まる訳ではないでしょう。

状況に応じた具体的な解決対応については、こちらのページをご覧ください(「労務管理・トラブル対応のご相談受付窓口」のページへのリンク)